第3回公判 検察側による証人尋問
〜その4〜

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○ 証人、安藤氏への検察尋問。

3回目を迎える松文館事件公判は、2月26日午後1時15分、傍聴席を支援者で満席にして開廷した。
前回に続いて検察側証人の尋問が行われることになっていたのだが、前回の「検察側証人の造反」という大失態を検察側がどのように挽回してくるかが裁判のポイントになることが予測されていた。
今回の証人、安藤氏は日本出版販売株式会社の課長で、貴志社長以下3名の不当逮捕当時、検察によって事情聴取を受けていた人物だ。今回彼が検察官の質問に対して、どのような証言をするのか、傍聴人の期待はその点に注がれていた。


検察官:西村の方から、証人は日本出版販売の雑誌部コミック課長をされているということでいいですね?
証人:はい。
検察官:証人のところでは、コミックの販売取り次ぎの業務をしているということですね?
証人:はい。仕入れを担当しております。
検察官:平成10年4月に松文感館が出版した成年向けコミック本の販売取り次ぎを証人はしたということでいいですね?
証人:はい。
検察官:証人は事前に『蜜室』の内容をチェックされてましたか?
証人:ええと、現物は見ておりません。
検察官:コミック本の販売取り次ぎを行なうかどうかの決定権は会社のほうから委譲されていたというふうに検察官調書にありますが、これは間違いないですか?
証人:はい。
検察官:証人は、摘発される前、『蜜室』をどのようなコミック本と認識していましたか?
証人:あの、摘発されまして…
検察官:摘発される前です。
証人:ですから、現物を見ておりませんので。内容についてはわかりません。
検察官:どのような本だという認識でしたか?
証人:成年マークのついた、成年男性向けのコミック誌だと。
検察官:内容についてはどうですか?
証人:摘発される前は、内容は見ておりません
検察官:成年男性向けの内容という認識ですか?
証人:はい。
検察官:摘発後はどうですか?
証人:摘発後は、見まして、本誌『姫盗人』から分かれた雑誌という認識です。
検察官:読者層はどうですか?
証人:先程お話しましたように、成人男性向けのものだと思います。
検察官:成人という言葉を使われていますが、二十歳以上ということですか?
証人:十八歳以上ということです。
検察官:ええと、まあ検察庁で事情を聞かれた際にも、『蜜室』確認されたと思いますが、内容確認されますか?
証人:はい。
検察官:これが公54号証ですが、主なページを示しますので確認してください。

前回と同じく、検察官が証言台まで出向き、証拠『蜜室』を広げて見せ、ページを指し示してその内容確認をする。
ただ、本当はこれはおかしい。
漫画はコマによって構成された物語なのだから、特定ページの一コマを提示して、「これをワイセツと思うか?」と聞いたところで、「この漫画はわいせつな内容か?」と聞いたことにはならないはずなのだ。
もし、内容のワイセツ性を聞きたいのであれば、その場で全ページ、少なくとも一話を通読させたうえで「わいせつな作品だと感じたか?」とでも聞かなければならない。ただ、それをやると「ワイセツ性=性器の露出有り無し」という慣例から大きく飛び出すことになるので、今後は漫画に限らず全てのエロメディアについて閲覧者・視聴者の主観による検閲を求めないといけない。流石にそこまで「思想表現弾圧」な法解釈をするほどこの国はファッショでは無いと思う。
逆に、コマ単位での性器の露出を問題にするのであれば、法の平等性の問題からしても、当時流通していた全作品と比較して最も消しが薄いことを証明して見せないといけないはずだ。いずれの道も「イバラの道」であると思うのだが、検察官による尋問は続く。

検察官:性器の結合部分などにアミがかけてあったということは確認できましたね?
証人:はい。
検察官:この修正部分を通して中が透けて見えるというような認識をされましたか?
証人:あの、透けて見えるというふうに思います。
検察官:証人はこの『蜜室』を見て、どのような印象を受けましたか?
証人:今申しましたようにアミカケが透けて見えると…ただ、どの程度であればワイセツであるかは、基準が無いのでわかりません。
検察官:この『蜜室』ですが、学術作品だと思われますか?
証人:学術性という点では、私個人の思いですが、乏しいと思います。
検察官:芸術性という観点からはどうですか?
証人:芸術性という観点からは…非常に価値観によって違うと思うんですけど、どのようなレベルであれば芸術に近いかということはわかりません。
検察官:判断できないということですか? 判断できない理由は、基準が無いからですか?
証人:はい。
検察官:では、一般的なことを聞きますが、『蜜室』を見て、いやらしいという気持ち、卑猥だという気持ちになりましたか?
証人:ええと、いやらしい、漫画として想像の描写として描かれたものですから…いやらしいという気持ちは
検察官:それはコミック課長さんという立場でのことですか?個人的な考えですか?
証人:個人的な考えです。
検察官:立場上はどうですか?
証人:立場上も同じです。
検察官:空想の描写と言われましたか?
証人:想像として…
検察官:想像したものなので、いやらしくないと
証人:はい。
検察官:そうすると、アダルト漫画のようなものには、いやらしいという概念はないんですか?
証人:あの、正直個人の価値観からすると、漫画であればいやらしい気持ちにはならないと。ですから人によってはいやらしいと思う人もいれば私のように思わない人も。
検察官:人によっては、とおっしゃられましたが、どのような人ですか?
証人:いわゆる、青少年には、ふさわしいかどうかと。
検察官:では、嫌悪感についてはどうですか?
証人:私自体は…
検察官:人によっては嫌悪感を持つ人もいると
証人:それはまあ、一概には申し上げられませんので…
検察官:人前で読める内容ですか?
証人:読むときもあれば、読まないときも…
検察官:証人の場合はどうですか?
証人:先ほど申しましたように、読むときもあれば読まないときもあると。女性の前では…
検察官:青少年の前ではどうですか?
証人:内容的には成年男子向けなので、ふさわしくないです。青少年に対しては成年マーク、識別マークをつけて…
検察官:このコミック誌が社会に出回ることの影響についてはどのように考えますか?
社会通念というのは、時代の流れで流動的ですので…個々の価値観が人によって違うので、一概には申し上げられません。
検察官:悪影響を与えるとは思いませんか?
証人:…ですから、世間一般に、どれが悪いという基準が無いわけですから、むずかしい問題だとおもいます。
検察官:先程、成人マークがついているので、青少年の手に入らないようになっていると言っていましたが、その後フルボン屋に持ち込まれたりとか又借りされたりということもあり得ると思うんですけど、そのような影響についてはどう思われますか?
証人:われわれのできる範囲というのは、最終的には小売り書店さんの店頭に並ぶところまでが範囲内で、それ以降の事については、範囲でないと。
検察官:証人の会社では、どのような基準で『蜜室』のようなコミック誌の販売取り次ぎを行なっているんですか?
証人:あの、内容的な基準というのは無いです。
検察官:すると、チェック機能というのは無いんですか?
証人:内容についてのチェックというのはないです。あくまで内容については出版社の判断で…またあの、出版社さんとの信頼関係で…

いやらしいと思うか?という意味不明な質問、青少年について有害か?という的外れな質問。
ていうか、「フルボン屋」って、何?
それらを難なくかわしてゆく証人の答弁は、ややぼそぼそと口ごもって頼り無いものの、の流れは一応「予定通り」な展開だった。
前回といい今回といいある意味アホな検察官の自爆によって救われてきた感があるのだが、一抹の不安は残されていた。
無論、アホは不治の病なので西村検察官がとつぜんレベルupすることはあり得ない。
しかし、幾らアホでも、1ヶ月弱もあれば何らかの対策は取ってくるのではないか?
今回それが的中していくことになる。

検察官は先の敗戦の教訓から、今回は最初から証言と調書の矛盾を攻撃してゆく戦術を取ってくる。


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※尚、このレポートはメモ及び記憶を元に作成されており、あくまで公判のイメージを伝えるためのものですので、多少の記述の食い違いは御容赦ください。
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※制作は児ポ法改悪阻止青環法粉砕実行委員会が行なっています。 また、制作に当たり匿名の方の協力をいただきました。



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