第4回公判 被告人尋問
〜その1〜

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3月18日、松文館裁判の第4回公判がいつもと同じ東京地裁528号法廷で開催された。
これまでの公判で検察側による証人尋問は完了し、今回は被告人である貴志社長本人への尋問が行われた。
尋問はまず弁護側から始まる。この中で弁護側は、これまでの検察側証人も含めた、供述調書の信憑性を突き崩す作戦に出た。

今回はほとんど解説を加えず、会話の流れをそのまま記述してゆく。
それだけで「留置所で何があったのか?」は読み取ることができるはずだ。


○弁護側による被告人尋問・9月19日の家宅捜索について

弁護人:では、弁護人望月のほうから質問しますので答えてください
被告人:はい
弁護人:被告人は株式会社松文館の代表取締役ということですね?
被告人:はい、そうです。
弁護人:今回問題になっている『密室』を出版している会社ですね?
被告人:はい。
弁護人:今回被告人質問では、あなたの供述調書のなかに、任意で供述できなかったこと、あなたが言ったことと違うことが書かれていたけれど署名拇印してしまったということですので、取り調べの状況についてお聞きしたいとおもいます。
被告人:はい。
弁護人:まず証拠として出ているのが、9月19日付け調書、この日は家宅捜索が入った日なのですけど、この日に行われた取り調べについてお聞きします。まず、捜索を受けた場所はどこですか?
被告人:自宅です。
弁護人:家宅捜索には警察官がやってきたと思うんですけど、あなたはその時どこにいましたか?
被告人:駐車場に、妻と一緒にいました。それで車に乗ろうとしていて、そこへ4人の刑事が来ました。そして、警察手帳を見せられてそのまま自宅の方へ戻りました。
弁護人:そこで家宅捜索と差し押さえがあったんですね?
被告人:そうです。
弁護人:警察官が来た時間は何時ごろですか?
被告人:午前9時半ぐらいです。
弁護人:それから家に戻って家宅捜索の様子をみていたのですね? 捜索は何時間くらいやられたのですか?
被告人:2時間ぐらいだとおもいます。
弁護人:その捜索の後の警察の取り調べはどこの警察署で行われたのですか?
被告人:代々木警察署です。
弁護人:警察官はあなたに、何と言って警察署に連れていったのですか?
被告人:ええと…ちょっと来てくれというようなことでした。
弁護人:奥さんについては警察官は何か言いましたか?
被告人:刑事は携帯電話で話をしまして、「妻を連れていこうか」というような話をしていました。
弁護人:代々木警察署に行ったのはあなた1人ですね?
被告人:はい。
弁護人:そこまではどうやって移動したのですか?
被告人:パトカーではなく、乗用車で移動しました。
弁護人:車内であなたはどこにすわっていましたか?
後ろの、中央に座っていました。両側には警官がいました。
弁護人:代々木警察署まではどのぐらい時間がかかりましたか?
被告人:1時間半ぐらいだと思います。
弁護人:警察官から何か話はありましたか?
被告人:「逮捕されたことはあるか?」とかいうような話を何回かされました。
弁護人:証拠として上申書を提出します。
裁判長:弁護側として請求予定ということですね?
弁護人:請求予定ということです。この上申書ですが、これはあなたが弁護人に対して言ったものですね。
被告人:はい。
弁護人:逮捕されたことがあるかと聞いた警官の名前はわかりますか?
被告人:横森さんという方でした。
弁護人:今回証拠として出ている調書にも横森とサインしてあるのですが、同一人物ですか?
被告人:はいそうです。
弁護人:家宅捜索の時、部屋の中で「妻も連れていこうか」と携帯電話で話をしていたのも横森さんですか?
被告人:そうです。
弁護人:彼が現場を指揮していたのですね?
被告人:そう思います。
弁護人:あなたが警察署に連れていかれたのは、法律的には任意同行といって、拒否できるものなのですが、そのことの説明をうけましたか?
被告人:全く受けていません。


○弁護側による被告人尋問・9月19日の任意事情聴取での調書について

弁護人:取り調べはが始まったのは何時で、終わったのは何時ですか?
被告人:12時ぐらいから、5時ぐらいまでです。
弁護人:取り調べの内容についての質問ですが、警察官はあなたにどのような言い方をしていましたか?
被告人:一方的にこれはワイセツだというような言い方をされました。
弁護人:本を見せられましたか?
被告人:見せられました。そして、「裁判官と有識者2名がこれを見てワイセツと決まったものだ」と言われました。
弁護人:あなたはそれを認めましたか?
被告人:全く認めていません。ワイセツなものを作って出版しているとは答えておりません。
弁護人:被告人が『密室』をワイセツでないと思っていた理由は何ですか?
被告人:ひとつは、浮世絵が出版されていましたが、それには修正は入っていません。それに他の漫画雑誌でも、消しのないものがずいぶん出版されていましたので、うちの会社は40%の消しを入れていましたし、成人マークをつけてゾーニングをしていましたので、そういうことはないと信じています。
弁護人:他社で消しが入っていないというのは、性器部分がそのまま出た状態で出版されているということですか?
被告人:はい。
弁護人:密室はワイセツだと思っていないと刑事に言ったんですよね?
被告人:はい。
弁護人:刑事はそれに対してなんといいましたか?
被告人:全く私が言ったことを理解してもらえませんでした。
弁護人:刑事は『密室』がどうしてワイセツにあたるのか、説明しましたか?
被告人:まったくありませんでした。
弁護人:警察がなぜ『密室』をワイセツと判断したのかについての説明はありましたか?
被告人:私の方から聞いたのですが、ワイセツには線引きがないし、それは自分たちがきめることではないと言っていました。
弁護人:ワイセツには線引きがない、自分たちでは決められない、そういったんですね?
被告人:はい。そうです。
弁護人:あなたと取り調べの刑事とのあいだで、ワイセツ性について、言い分を言い合ったとおもうのですけど、取り調べの時間、5時間くらいで最後まであなたはワイセツ性について認めなかったんですね?
被告人:はい。そうです。でも調書は最初からでき上がっているような感じだったんです。

弁護人:9月19日付けの調書では、『密室』がワイセツであると認めたようなことが書かれていて、その調書の最後には署名と拇印がされているのですが、この署名拇印のときに調書の内容を確認しましたか?
被告人:刑事が内容を読みあげてくれましたし、だいたいは確認しました。
弁護人:調書は刑事が読み上げたんですね?
被告人:はい。ただ、改めて確認してみると、私が言っていたこととずいぶんずれていたように思います。
弁護人:調書の変更は求めましたか?
被告人:はい。何度も要求しました。
弁護人:警察官はそれに対してどういう対応をしましたか?
被告人:そのまま外へ出ていきました。そして、15分くらいしてから取調室にもどってきました。同じことの繰り返しです。
弁護人:訂正してくれと何回ぐらい要求したんですか?
被告人:3回くらいは要求したと思います。
弁護人:3回くらい訂正の要求をして、その度に取調官が外に出ていき、15分くらいで戻ってきて、内容は結局変わらなかったということですね。
被告人:はい。
弁護人:訂正要求が通らなかったにもかかわらず、あなたは調書にサインと拇印をしていますが、何か理由はあるんですか?
被告人:途中、会社の方にも家宅捜索が入ったということを刑事さんからされまして、それで私は自分が逮捕されたのだと思っていましたし、会社の方も心配でしたので、サインと拇印をすることにしました。



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※尚、このレポートはメモ及び記憶を元に作成されており、あくまで公判のイメージを伝えるためのものですので、多少の記述の食い違いは御容赦ください。
※転載は自由です。
※このページは暫定的なものです。予告無しに移動する場合があります。
※制作は児ポ法改悪阻止青環法粉砕実行委員会が行なっています。 また、制作に当たり匿名の方の協力をいただきました。



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