第9回公判 弁護側証人尋問
〜特別編〜

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この日、「蜜室」取り締まりの陣頭指揮をとった警視庁生活安全部の真庭警部補が登場した。
先日の奥平証言のとき、弁護側が無理やり話題をねじ込んでもめた捜査報告書を書いたのが彼。いかにもな体育会系のおっさんである。
はじめに弁護士から尋ねられてプロフィールをざざっと語るのだが、何と国士舘大卒で第三機動隊。この警視庁第三機動隊は、俗に「鬼の三機」と呼ばれた精鋭部隊で、時期的にもちょうど成田空港(事情通は三里塚軍事空港という)で中核派とゴチゴチ殴りあってた人だ。聞くかぎりではキャリア組ではなくて現場からたたき上げらしい。
まあ、どうでも言い話だけど。


弁護人:弁護人岡本からお尋ねします。これまでの経歴を簡単に述べて下さい。
証人:昭和54年警視庁警察官を配任し、小平警察署、第三機動隊、生安総務課、新宿警察署、小笠原警察署、保安課、麻布警察署、月島警察署、保安課で現在に至っております。

弁護人:では保安課で猥褻文書、あるいは猥褻図画の取り締まりを担当するようになってからどのくらいが経ちますか?
証人:風紀担当として、7年間やっております。

弁護人:警視庁の生活安全部保安課では猥褻文書猥褻図画の取り締まり以外にどのような職務を行っているのでしょう
か?
証人:えと、質問の意味がわからないので、もう一度お願いします。

弁護人:警視庁、生活安全部保安課に所属しておられるわけですよね?
証人:はい。

弁護人:そこでは、わいせつ文書、図画の取り締まり以外に、どのような職務を行なっていますか?
証人:私本人ですか?

弁護人:そうです。
証人:現在は、わいせつ図画、公然陳列のみですが、他にはありません。

弁護人:これまで絵や写真などの芸術について専門的な教育を受けたことがありますか?
証人:専門的な教育は受けていません。

弁護人:最終学歴は?
証人:国士舘大学政経学部、二部を卒業しております。

弁護人:芸術などについて、特に判断能力をお持ちというわけではないということでしょうか?
証人:はい。

弁護人:あなたは本件成人コミックス「「蜜室」」という本の、検分という過程に関与されたみたいですが、代々木警察署派遣警視庁生活安全部保安課司法警察員というのは、どういう立場で代々木警察署に派遣されたのでしょうか?
証人:意味が理解できないのですが。

弁護人:警視庁の生活安全部保安課の課員として、代々木警察署に派遣されたんですね?
証人:はい。

弁護人:どういう立場で代々木警察署に派遣されたのでしょうか?
証人:今回のわいせつ図画の案件について取り締まりを行うためにです。

弁護人:なんで所轄の代々木警察署だけでは処理しなかったのでしょうか?
証人:やはり本部員が所轄の応援を、要は捜査を適正に進めるということではないでしょうか。

弁護人:警視庁の通達に、猥褻事犯取り締まり要項というのがありますね?
証人:はい。

弁護人:で、その要項の中に判定が難しい事案については生活安全部長に届け出るようにという規定がありますが、それとの関連で派遣されたのですか?
証人:はい、そうだと思います。

弁護人:今回の事件に証人が関与されたのは、何月何日からでしょうか?
証人:はっきりした記憶はありませんが、昨年の8月の中旬ごろだったと思います。

弁護人:今回の捜査過程において本件の成人コミック「「蜜室」」が猥褻図画に該当するという判断を下したのは、あなたですか?
証人:いえ、私はそれを書いておりますが、私個人の名前にはなっていますが、保安課の見解であるものです。

弁護人:保安課の見解?
証人:はい。

弁護人:それについて、検分の過程については後で詳しく伺います。まず捜査の端緒についてお伺いします。今回の事件の捜査の端緒はなんだったのでしょうか?
証人:一般人からの投書による、取り締まりの要望でした。

弁護人:その投書を警視庁生活安全部保安課まで転送してきた人がいると聞いたのですが、どなたが転送してきたのでしょうか?
証人:議員の平沢勝栄先生からと記憶しております。

ぽろっと出た平沢勝栄の名前。そんなにあっさり出していいのか…?
以前、ロフトプラスワンのイベントで、酔っぱらった宮台センセイが「黒幕は平沢だ」と恐ろしいことを口走っていたのだが、これで晴れて公開情報になってしまった。


弁護人:あなたが、その投書というものを受け取ったあるいは手にした目にした最初はいつだったでしょうか?
証人:はっきり記憶していませんがやはり8月の同じころだったと思います。

弁護人:ちなみにその投書が問題にしていたのは、「姫盗人」という雑誌だったのでしょうか?
証人:はい。そのように覚えています。

弁護人:投書には「姫盗人」の内容を示すコピーがついていましたか?
証人:はい、ついておりました。

弁護人:あなたはそのコピーの中身は見たことがありますか?
証人:はい、あります。

弁護人:なんという作家の、なんという作品のコピーでしたか?
証人:ビューティーヘアの「相思相愛」ではなかったかと思います。

弁護人:そのコピーは「相思相愛」の一部のコピーだったのでしょうか? 一個の作品全体のコピーだったのでしょうか?
証人:一部であったと記憶しています。

弁護人:あなたがそのコピーを見たとき、猥褻図画に該当すると感じましたか?
証人:…はい。

弁護人:「姫盗人」ではなく、単行本「蜜室」を摘発したのはなぜですか?
証人:…ちょっと意味がわからないのですが。

弁護人:調書では「姫盗人」の内容が問題であるというふうに書かれていたんですね。で、その姫泥棒を摘発せずに、「蜜室」という単行本を摘発したのはなぜですか?
証人:それは、代々木警察署に同じような匿名の電話がありまして、そこでも「蜜室」としてそのような意見がありました。

弁護人:その匿名の電話ですが、8月23日にかかってきたものですか?
証人:はっきりとは記憶しておりません。

弁護人:内容は、「蜜室という単行本が猥褻性が強い」というふうな内容だったのでしょうか?
証人:そう聞いております。

弁護人:結果として「蜜室」という単行本を検分することになったようですが、その「蜜室」を検分するということになった決め手というかきっかけは、投書なのでしょうか? 匿名の電話なのですか?
証人:投書です。

弁護人:証人が「蜜室」を検分された日は、平成14年8月27日で間違いないですか?
証人:それに書いているのなら間違いがないです。

弁護人:証人に、検分を行うように指示したのは誰ですか?
証人:上司です。

弁護人:その上司の人は8月27日の検分実施日を基準にすると、何日くらい前に指示をしたんでしょうか?
証人:記憶にありません。

弁護人:思い出せないということですか?
証人:指示をされたのは分かりますが、確実な日まではわかりません。

弁護人:指示をされた内容、どのような指示をされたのか、記憶の範囲でお答えください。
証人:検分をするにあたって風紀1係の会議で、係長、管理官など、「蜜室」の本を回覧して、他の本と、みんなで検討して、最終的にそういった検分書を書いたわけです。

弁護人:「蜜室」というサンプルの入手経過なのですが8月26日に買ってきたというのは間違いないですか?
証人:記憶にありませんが、書類に残っているならそれで間違いないと思います。

弁護人:8月26日に新宿書店から入手したと捜査報告書に書かれているんですが、検分の前日に購入されたものという記憶でしょうか?
証人:そう思います。

裁判官:あのお、お訪ねしてる内容、関係ありませんから…

弁護人:わかりました。購入はあなたご自身が行かれたのでしょうか?
証人:私ではありません。

弁護人:あなたではない?
証人:はい。

弁護人:そうすると、どのような売り場でどのような売られ方をしているのかは直接見ていない?
証人:はい。

弁護人:検分をするにあたって、「蜜室」を領置していますね? 「蜜室」を領置したのは何日ごろですか?
証人:記憶にありません。

弁護人:「蜜室」を領置した場所はどこですか?
証人:警視庁本部です。

弁護人:代々木警察署ではなくて?
証人:はい。

弁護人:検分を開始した時間ですが、8月27日の何時ですか?
証人:記憶にありません。

弁護人:検分を終了したのは27日の何時ですか?
証人:記憶にありません。

弁護人:では、何時間くらい検分をしたのか、それはご記憶ですか?
証人:検分は、検討を行なっていますので、1時間以上だと思います。

弁護人:あなたは、検分を行うよりも前に単行本「蜜室」の中身をご覧になったことがあったでしょうか?
証人:それはどういう意味ですか。

弁護人:8月27日の検分のときに初めて読んだかどうかということをお訪ねしたいんですが。
証人:それは、検分以前に目にしていたかということでしょうか。

弁護人:中身を見たかどうかなんですが?
証人:中身は見ていないです。

弁護人:そうですか。新宿書店でコミック誌4冊を入手したと書いてありますが、他の三冊は何でしょうか?
証人:「乱交調教」「家出娘調教」「蜜室」です。

弁護人:すべて、松文館が出版している本ですか?
証人:その3冊については松文館の本だと思います。

弁護人:4冊購入したということはあと1冊別のものがあったのでしょうか?
証人:そこのところの記憶がはっきりしません。

弁護人:「蜜室」以外のコミック誌についてはどのように判定したのですか?
証人:猥褻に該当しないと判断しました。

弁護人:コミック誌の検分結果報告書を見ると陰部露出、男女性交、フェラチオ場面などが露骨詳細具体的に描写されている猥褻図画に認定したとありますが、露骨というのは、性器などが直接見えるという意味ですか?
証人:はい、そのように。

弁護人:写真等であれば、性器を撮影した写真が性器を直接写したものだとわかるのですが漫画、線画でどちらかというと図に近いようなものだと思うのですが、それでも性器が直接見えるようなものだと判断したのですか?
証人:はい。

弁護人:ケシとかボカシが薄いとか濃いというのは露骨という要件との関係では、関係があるんでしょうかないんでしょうか?
証人:その点については…どういうことか解らないのですが?

弁護人:ケシやぼかしが入っていると露骨でなくなる場合があるんでしょうか? ということをお訪ねしているのですが
証人:ベタ塗り、白抜きなどの場合は露骨ではないのですが…

裁判官:あの、できるだけ前を向いて証言してください。マイクの関係があるので…
証人:はい。

弁護人:詳細、具体的というのは、リアルという意味なのでしょうか?
証人:はい。

弁護人:あなたの検分結果報告書の「露骨、詳細、具体的に」という結果部分ですが、露骨かつ詳細かつ具体的に描写されているという意味でしょうか?
証人:はい。

弁護人:陰部や男女性交、フェラチオ画面などが露骨かつ詳細かつ具体的に描写されているものは猥褻図画にあたるというふうなお考えをお持ちでしょうか?
証人:はい。

弁護人:作品のストーリーについてはご記憶ありますか?
証人:ありません。

弁護人:ストーリーについて検討したこともなかったでしょうか?
証人:今まで検分したときにはあったと思いますが、今は、ストーリーを読んだような記憶はありません。

弁護人:作品のストーリーの中において、性的表現、性器描写などが持つ意味について検討したことはありますか?
証人:その時々によって違いますので一概に言えないと思います。

弁護人:作品全体の中で証人が問題があるなと感じた個所がどの程度の割合を占めていたかについてお尋ねしますが、この「蜜室」という単行本の全コマ数の中から証人が先ほど言った露骨詳細具体的に性器等を描写しているという問題の箇所は何コマくらいあったのでしょうか?
証人:詳しくは覚えていないのですが。

弁護人:全部で何コマでそのうち何コマくらいは問題の箇所だということについて割合を検討したことはないですか?
証人:ありません。

弁護人:文書、図画などが全体として猥褻であることが必要だという「悪徳の栄え」最高裁判決はご存知ですか?
証人:わかりません。

弁護人:検分とは具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?
証人:その本を見て猥褻かどうかという判断であると認識しております。

弁護人:ストーリーに沿ってコマを順番にとって読んでいくという意味なのでしょうか?
証人:その時その時によって違うように。

弁護人:絵だけを見る場合もある?
証人:はい。

弁護人:何回くらい「蜜室」を読みましたか?
証人:記憶にありません。

弁護人:検分の日、中身は初めて見たわけですよね?
証人:はい。

弁護人:結論を出すために一回だけで出したか、複数回読んだかという点ではどうですか?
証人:数回、見ていったと。

弁護人:読んだその日、見たその日に猥褻であるという結論を出したんでしたか?
証人:いいえ違います。

弁護人:検分結果報告書の検分年月日は、平成14年8月27日となっていて、報告書の作成日付も8月27日となっているんですが、実際に猥褻であると認定した日は検分した日よりも後なんですか?
証人:記憶にありません。

弁護人:8月27日という検分結果報告書の作成日付は、この文書の記載通りに作成されたんでしょうか? 後日、8月27日付けで報告書が作成されたのでしょうか?
証人:日付…であると思います

弁護人:であるとするならば、検分したその日に結論を出さなければ結果報告書が作成できないんではないかと思うんですが?
証人:その日に見聞し結果を出したか…記憶にありません。

弁護人:あなたが猥褻であると判断した理由を説明して下さい。
証人:猥褻と私が判断しましたのは風紀1係の他に、係長、参事官、有識者の先生にも意見を聞いてその後、東京地検担当検事に意見を聞いて総合的に判断して猥褻であると判断し立件いたしました。

弁護人:サンプルを入手したのが8/26で、検分を実施した日が27日、で猥褻図画に認定したという結果報告書を作成したのも8/27だとすると、いつ有識者の意見を聞いたのですか?
証人:立件する前ですね。

弁護人:つまり検分結果報告書作成の後という意味ですか?
証人:そうではなかったかと思います。

弁護人:有識者とはどなたですか?
証人:私は直接関係ありませんのでわかりません。

弁護人:どのようなことについて専門的知識を持っている人なのでしょうか?
証人:その関係についても私は直接わかりません。

弁護人:弁護人山口のほうから伺います。今、証人は有識者の意見を聞いたうえで猥褻であると判断したと言いましたよね。
証人:はい。

弁護人:で、有識者の人が誰かということについて、じゃああなたが有識者のところにいったわけではないのですね。
証人:はい。行ってません。

弁護人:では有識者がこういうことを言っていると報告をしたのは誰ですか?
証人:上司です。

弁護人:上司って誰ですか?
証人:担当の係長です。

弁護人:その前に何の専門家と何の専門家がこういうことを言っているといわれませんでしたか?
証人:たしか刑法学者の先生と、弁護士の先生がと。

弁護人:刑法学者と、弁護士の先生、に話を聞いたんですか。その前に、その係長の人がどういう質問をしたかということを聞かせてください。
証人:いえ、わかりません。

弁護人:ではお尋ねします。その有識者の方々に係長さんのほうで見せたときに、「蜜室」を直接示して意見を聞いたわけですか?
証人:私一緒に行っておりませんで。

弁護人:係長はなんという方ですか?
証人:T係長です。

このT係長、テラシマだかトヨシマだかトリシマだったと思うのだけど、定かではないのでTにしておく。
確認とれ次第実名報道に切り替えます。

裁判官:あのー予定時間過ぎておりますので、手短にお願いします。

はいはい。手短にね。
この倍続きます。


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※尚、このレポートはメモ及び記憶を元に作成されており、あくまで公判のイメージを伝えるためのものですので、多少の記述の食い違いは御容赦ください。
※転載は自由です。
※制作は児ポ法改悪阻止青環法粉砕実行委員会が行なっています。 また、制作に当たり匿名の方の協力をいただきました。

 
 



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