第9回公判 弁護側証人尋問
特別編

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真庭証人の証言続きです。
ワイセツ取り締まりというのに基準はなくて、この体育会系機動隊OB中年男の感性で判断するそうです。


弁護人:猥褻かどうかを判断するのにどの点に着目して行ったんですか?
証人:性器が具体的に見えるかどうかです。

弁護人:猥褻性を判断するに際して、警察内部になにか基準のようなものがあるのでしょうか?
証人:基準というものはありません。

弁護人:猥褻事犯取り締まり要項というものがありますね? それには基準は書いていないんですか?
証人:はい。

弁護人:書いていない?
証人:はい。

弁護人:かつて取り締まりの対象になっていた小説チャタレイ夫人の恋人やその他のもので現在規制が解かれて公然と販売されているものもありますね?
証人:…良く解らないので

弁護人:検分に際して立ち会った人はいるんですか?
証人:はい。

弁護人:どなたでしょうか?
証人:T警部が立ち会っておりました。

弁護人:立会人はどのような作業を行いましたか?
証人:その検分書には、二人、私とT警部の名前しか書いておりませんがほかにも…会談して認定しております。

弁護人:そうすると全部で何人の人が検分に関与されたのでしょうか?
証人:十数名だと思います。

弁護人:結論を出す際、多数決で出したのでしょうか?
証人:いえ、多数決ではなかったと思います。

弁護人:十数名の人の中で(T?)係長がもっとも地位の高い人ですか?
証人:いえ、管理官がいます。

弁護人:管理官およびT係長ですが、あなたが検分についての意見を述べる前に管理官やT係長が意見を述べましたか?
証人:はっきり記憶しておりません。

弁護人:立会人というのは、なんのためにいるのでしょうか?
証人:個人的な恣意的な意見を防ぐためだと思います。

弁護人:猥褻図画と認定したという結果報告書を作成する前に上司の決裁を求めたことがありますか?
証人:はい。

弁護人:どなたでしょうか?
証人:直属の上司はT係長ですから、やはりT係長に。

弁護人:上司はどのような意見を述べたのでしょうか?
証人:猥褻であるということを言ったと思います。

弁護人:弁護人山口から伺います。ええと、猥褻かどうかを判断する際に、社会通念という基準にしたがって判断するということについて知っていますか?
証人:はい。

弁護人:ということは、猥褻かどうかを判断するというよりも社会通念が何かということを証人が判断しているということですよね?
証人:はい。そうです。

弁護人:証人は、これまでに写真やビデオいわゆる実写のポルノではなくて漫画のようなものを摘発したことはあるのですか?
証人:ありません。

弁護人:証人は性器や性交場面に修正のない浮世絵画が市販されている河出書房という出版社から出ているのですが、これを知っていますか?
証人:わかりません。

弁護人:わからない? 知っているか、知らないかですよ。
証人:知りません。

弁護人:そうですね、証人はいわゆる漫画というのはどれくらい読まれるのですか?
証人:漫画は…週刊誌、週刊漫画を含めてですか?

弁護人:では限定します。成年コミックです。
証人:成年コミック自体は、読みません。

弁護人:さっきのところに話を戻しますが、みんなで、風紀1係の係全員で回覧したという話でしたね。
証人:はい。

弁護人:なぜあなたが検分結果報告書を作成したのですか? 上司ではなくて。
証人:私が、代々木警察署に派遣となり、そちらで捜査をするためです。

弁護人:さきほど検分の時間について1時間以上と言いましたが、2時間は越えていましたか?
証人:はっきり記憶しておりません。

弁護人:検分中食事をとったりとかね、そういうことはありましたか?
証人:いや、食事はとってないと思います。

弁護人:では半日くらいですか?そこまではいってないですか?
証人:半日はとってないですね。

弁護人:3時間くらいはどうですか?
証人:…。

弁護人:正確に何時何分って聞いているわけではないです。おおまかな時間でどうでしょう?
証人:よくわかりません。

弁護人:そうすると回覧に際したのは「蜜室」だけですか?
証人:いえ、ほかの本も一緒に調べました。

弁護人:ということはあなたの言っている検分時間とは4冊の本を合わせて検分している時間ということですか?
証人:はい。

弁護人:それが1時間でまあ半日までいっていないということですね。係員は回覧の中で何人いました?
証人:十数人。

弁護人:十数名の方が4冊の本を回覧したわけですね。
証人:はい。

弁護人:その際に、かなり議論にはなりましたか? 猥褻か猥褻でないかとか。
証人:議論にはならなかったと思います。これほどひどいのかといった意見で。

弁護人:その際に作品のストーリーとかについて、何か意見がでたということはありますか?
証人:確か、輪姦とかそういう、作品のアレンジについては悪いんじゃないかと。

弁護人:それは具体的なコマなりカットなりではなく、全体としてのストーリー、起承転結あるわけですが、そのストーリーについての疑問というのは誰かおっしゃいましたか?
証人:ストーリーについては、していなかったんじゃないかと。

弁護人:以上です。




検察官:さきほど本件「蜜室」、「家出娘調教」、「乱交調教」ですか?
証人:はい。

検察官:ビューティーヘアのマンガを購入したということですが、それとともに、比較検討するために他のコミックを購入されて検討されていますか?
証人:はい。

検察官:何冊くらい確認されていますか?
証人:15冊か20冊くらい買ってると記憶しております。

検察官:それはどのような基準で選定したのですか? 
証人:成人コミックを中心に集めてきたと思います。松文館を含め他の社のコミック誌を買ってきたといわれております。

検察官:証人はそれをごらんになったのですね?
証人:はい。

検察官:「蜜室」の描写と比べてどのような印象を持ちましたか?
証人:リアリティに欠けているというふうに思いました。

検察官:どういう点からリアリティに欠けていると思ったのですか?
証人:全体の構図や性器などの描写において欠けているように思いました。

検察官:リアリティに欠けているということですか?
証人:はい。

検察官:それから、どの15冊から20冊をチョイスしたのか成人向けコミックをね。何か的を絞って、作為的に選んだというのはあったんですか?
証人:作為的には抽出していないと思います。

検察官:次に警察における猥褻の取り締まり基準はないということですが、これまでいろいろと摘発されてきていますけどね。どのような、なにか参考にされて摘発されてきたと思うのですが、参考にされているようなものはあるんでしょうか?
証人:特別ありません。今までのわいせつビデオや写真誌と違って、今回は初摘発となりますので慎重を期してやっております。

検察官:質問はですね。これまで写真集とかDVDビデオそのほかいろいろありますけどね、そういうふうな摘発に際して、基準にしているものは、どのようなものがありましたか?
証人:性器が、性交場面等が丸見え、悪い言葉で言えば、丸見えになっているものについては摘発しております。

検察官:今回その「蜜室」、成人コミック誌ですが、これを摘発したのは無いということでしたか?
証人:はい。

検察官:そうすると警視庁によって初めて摘発となるわけですが、慎重に行ったという表現が出ましたけれども、この慎重というのはどのような意味合いで言われたのですか?
証人:先ほども述べましたけれども、私のほか、風紀1係だけの意見だけではなくて、有識者の先生、東京地検の見解なども聞いて慎重にやったという流れです。

検察官:どうして慎重にやったのですか?
証人:漫画は今回が初摘発だったわけです。

検察官:有識者の先生の意見や、東京地検の検事の意見などを聞いて、最終的に立件するということになったのですか?
証人:はい。

検察官:今回初めて成人コミック誌をね、摘発しているわけですけれども、警視庁における通常の取り締まりというか、雑誌類あるいは写真誌写真集のケースですけれども、どのようなことをされていますか?
証人:通常、警視庁において今回のような公刊出版物ついては、警察の恣意的意見を避けるために、有識者の先生に意見を伺うなどをしています。

検察官:警察のほうでも写真誌や週刊誌などチェックされていると思うのですが、日常業務の中でそのようなチェックはどのように行われているのですか?
証人:それは保安課の風紀1係において毎月150〜200冊くらいの本を、写真誌とか週刊誌を購入いたしましてそれが猥褻に当たるか猥褻に当たらないかということをチェックする担当のものがおり、その者がわいせつに該当するのではないかといったときに取り締まりたいというふうに判断し報告をあげて、みんなで検討するようになります。

検察官:その200冊からの雑誌の中に本件のようなコミック誌は含まれていたんですか?
証人:いえ、コミック誌は今まで、購入していなかったと思います。

検察官:そうすると今回、「蜜室」のような描写がなされてものが流通しているということを知って、どのように感想を持ちますか?
証人:はい。正直言って、驚いております。

検察官:どういう点で驚いていますか?
証人:性器などの描写が多く、そのような点について驚いています。

検察官:そうすると証人の認識としてはコミック誌はどのような状態だと認識してたんですか?
証人:今までコミック誌については全く認識しておりませんでしたので。

検察官:それはチェックされたことがなかったということですね?
証人:はい。

検察官:それでは最後に「蜜室」を捜査段階において猥褻と判断した理由を述べてもらっていいですか?
証人:性器性交場面などが詳細にかつリアリティに描いてありまして、ケシが入っているものの性器の部分がはっきり見える状態であるためわいせつであると判断いたしました。

検察官:今述べていただいた判断ですが、その最終的な判断は困難なものでしたか? それとも簡単なものでしたか?
見てすぐにわかるというようなものですか?
証人:見てすぐ性器がわかるものでした。

検察官:判断は、警察のほうで猥褻図画と最終的に認定しているのですが、この認定はどのようにされたのですか?
証人:今回やはり初摘発でしたので、わいせつと判断するにあたり、猥褻と認定するには充分と認識しました。

検察官:またあのストーリーの部分で輪姦というふうな言葉が出ましたけれど、ストーリーについてはどこまで検討したかということについて描写とともに、ストーリー性についても一応検討はしているのですか?
証人:一応検討はしております。

検察官:どのように検討したかわかりますか?
証人:詳しくは覚えておりません。

検察官:警視庁内部で「蜜室」を含めたコミック本を検討してことですけどもこれは検討のやり方としてはどのようなやり方で?
証人:まずそのものを購入して、その本を読み上げて、回して見てから

検察官:回覧ということですか?
証人:はい、回覧しています。

検察官:その作業にかかわった人は何名くらいいたのですか?
証人:十数名。


検察官:十数名のかたが回覧して、その判断というのは難しかったんですか?
証人:わいせつであると、スムーズであったと記憶しています。


弁護人:山口から何点か指摘します。有識者の意見を聞いたとありましたが、書面として残っているものはあるか?
証人:いえ、書面ではありません。

弁護人:つまりT警部から伝え聞いたということですね?
証人:はい。

弁護人:えっと、弁23号証、21号証を示します。



弁護人:今証人にお見せしたのはいずれも浮世絵で、性器性交部分がボカシなしで描かれているのですが、そういうものがあるということを証人はご存知でしょうか?
証人:はい。

弁護人:見たことあります?
証人:この絵ではありませんが、あります。

弁護人:それを見た時期はいつですか? 検分するときですか。前ですか後ですか。
証人:検分する以前です。

弁護人:以前に見たことがある?
証人:はい。

弁護人:それについて警視庁で取り上げられたことってあるのですか?
証人:私が記憶しているところでは、ないと思います。

弁護人:ああ、そうですか。さきほど、証人の話では成年コミックというのは普段読まれないという話でしたね。
証人:はい。

弁護人:それから警視庁風紀1係のほうで毎月150〜200冊くらい週刊誌、つまり漫画を含まなかったということもありましたね。
証人:はい。

弁護人:さきほど、漫画を15冊くらい集めたとありましたね、その15冊集めたのはいつぐらいですか?
証人:検分と同じころではなかったかと思います。

弁護人:ということは、検分の前にあなたはそれらの漫画を見ていた?
証人:はい、検分書を書く前に見ました。

弁護人:検分書を書く前に見たんですか? それとも同じ日に15冊を見たんですか?
証人:同じ日のように記憶しております。

弁護人:ふうーん。さきほど、有識者と検事二人の意見を聞いたんだと言ってますが、その人選は誰がやっているのですか?
証人:それについては私はわかりません。

弁護人:成年コミック誌市場においてね、コミックというのがだいたいどれくらいの点数あるかご存知ですか?
証人:詳しくはわかりません。

弁護人:岡本から伺います。証人の作成された検分結果報告書の結果というところに、「陰部露出男女性交フェラチオ画面などが露骨詳細具体的に描写されている」という部分と「猥褻図画に認定した」という部分が書かれていますけれども、「露骨詳細具体的に描写されている」というところまでが理由に当たる部分なのでしょうか?
証人:はい。

弁護人:露骨かつ、詳細かつ、具体的であることが必要なんですか?
証人:あの、質問の意味がわかりません。

弁護人:では露骨、詳細、具体的、いずれかの要件が欠く場合には猥褻とならないのでしょうか?
証人:そのとき、個々具体的に違うと思います。

弁護人:先程「蜜室」以外のサンプルをわいせつとしなかったのはリアリティに欠けているとおっしゃいましたね?
証人:はい。

弁護人:15冊から20冊のうち「蜜室」以外のすべてがリアリティに欠けていたのですか?
証人:…わからない。

弁護人:わからない?
証人:はい。

裁判長:わからないというのは、質問の意味がわからないということですか?
証人:はい

弁護人:弁護人山口から伺います。「蜜室」以外に15冊くらいの成年コミックを検分されたとおっしゃいましたね。その成年コミックの中にわいせつであると認定したものはありましたか?
証人:ありませんでした。

弁護人:どのような理由で? 3つのうち、どれが欠けていたのですか?
証人:ごく詳細、リアリティに欠けるということで認定しなかったと思います。

弁護人:以上です。

今回はそんなにコメントを入れなくても、いかに警察の捜査がズサンでデタラメであるかがおわかりいただけたと思う。
こんな連中にクリエイターの逮捕や起訴の全権を委ねるのは表現の自由の自殺だ。
警察OBの政治家による政治的な事件化がまかり通ってしまうのかどうか、この国の社会そのものの健全さが問われているんじゃないだろうか。



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※尚、このレポートはメモ及び記憶を元に作成されており、あくまで公判のイメージを伝えるためのものですので、多少の記述の食い違いは御容赦ください。
※転載は自由です。
※制作は児ポ法改悪阻止青環法粉砕実行委員会が行なっています。 また、制作に当たり匿名の方の協力をいただきました。

 
 



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